デジタル化の波に乗って、効率を図るべき?
それとも、今までと変わらず、古くさいやり方でいくべき?
人々の生活スタイルが変わる
新型コロナウイルスの影響で、人々の生活様式が変わると言われています。
各国の政府もソーシャルディスタンスを推奨し、人が集まる会食などを避けるよう言及していますし、、
GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏は、新型コロナウイルスが今後の社会に及ぼす影響について、「緊急事態が終わっても、世界は以前と同じような姿ではないだろう」とすら言っています。
デジタル化の波に乗りますか?
これによって、デジタル化が急速に進むと世間では言われていますよね。たとえばリモート。パソコンやスマホ1台で何でもできてしまう時代になってしまう。
既にニュース番組を見ていれば評論家がテレビ電話で通じて解説していますし、ZOOMというアプリを使ったミーティングや飲み会というのも普及しています。
5Gの普及と比例してリモートが進化していけば、学校へ通学する必要性が劇的に減るかもしれませんし、会社へ出社するという概念が無くなってしまうかもしれません。
特に、学びを教える教育産業ではコンテンツ化がさらに進化していくでしょう。コンテンツ化というのは簡単に言えばノウハウを何らかの形に残すこと。書籍もそうですし、DVDもそうですね。ネットでは、ネットによる動画配信などです。
ネットが進化することで、学校の授業もスマホを見て学ぶということが当たり前になってくるでしょうし、現に専門教育(専門学校なんか)はネットによるビデオ配信が普及しています。
人材育成をコンテンツ化すべきか
そこで人材育成の観点から考えられるのが、新入社員研修によるコンテンツ化です。
毎年毎年、入社してくる新入社員に研修をおこなう。正直言って大変です。毎年同じような内容の研修をおこなわなければいけないことも多々あります。
私自身「また今年も同じことを教えるのか…」と、心の中で「正直、めんどくせぇ」と思ってしまうことも少なくありません。
ですから、研修内容を録画しておいて、毎年入社してくる新入社員に「スマホから学習しておいて」と言ってしまえば、私たちの負担がかなり軽減できます。
現にコンテンツ化させている企業さんは増えていますし、「私もそれがベストだ!」なんて思っていました。
しかし!!
私はそれが一概に「ベストな方法ではない!」ということに気がつきました。
なんでもデジタル化にすべきではない理由
そういったデジタル化が進む中で、私はあえて!対面による新人研修をオススメしたいのです。
それはなぜか…?
理由は簡単で、デジタル化をおこえば、新入社員との密なコミュニケーションが図れないからです。
本来、人間というものは五感を使って相手とコミュニケーションをとっています。
目で見て、匂いを感じ、耳で聞いて、口で話す。そして何よりも、その人の雰囲気や空気感、立体感みたいなものを肌で感じています。
それがネットを通じるとわからなくなる。たとえばリモートで会話したとします。視覚や聴覚、会話ができたとしても、立体感や空気感のようなものはわかりません。
相手が何を考えているのか、肌で感じることができませんし、ちょっとした仕草を見て取ることもできません。
人間は人間らしく
正直、今年は新型コロナウイルスの影響で、新入社員の研修を在宅勤務によっておこなうことを考え、社長に提案しました。
しかし、社長が頑なに拒否したのです。
人と人が直接会ってコミュニケーションをとる。それが無くなれば人間は人間でいる必要が無くなる。
俺の考え方や仕事のスタイルは時代遅れかもしれない。でも最後は人と人とが、同じ空間、同じ空気を共有してこそ信頼関係が生まれ、一体感が生まれるんじゃないのかな。
社長が発したお言葉でした。
感染しないよう防止対策をおこなえば感染リスクは減ります。ですから新入社員には会社に出社してもらい、研修をおこないました。
結果、それが好循環となりました。
対面研修はメリットしかない
それは新入社員どうしの一体感が生まれただけではありませんでした。
以下、私が経験した対人研修のメリットを挙げます。
- 同じ空気の中で研修活動をすることで、新入社員の個性、特性が見つかるようになりました。
- しかも、緊急事態宣言の影響で、ちょっと仕事が薄かった会社の従業員が、積極的に新人研修に参加してくれるようになりました。
- 今まで研修することすら眼中に無かったベテランの従業員さんが研修に参加してくれたことで、人材育成というものに本気になってくれました。
- 私が活動している人材採用と人材育成の大変さを、従業員さんが理解してくれるようになりました。
- そしてベテラン従業員さんが「俺って人材育成に向いているかもしれない!」「来年も俺、研修するわ!」と言ってくれるようになりました。
- 今まで「最近の若いヤツは…」と若者を理解しようとすらしなかった従業員が、若者を理解してくれるようになりました。
- 新入社員がこれから仕事現場へ入るようになっても教え方を変えていかなアカンなぁ。と言ってくれるようになりました。
- 人材育成に参加しなかった他の従業員に対して、新入社員の長所を伝えてくれるようになりました。
- 新入社員も研修に対して「楽しいです」と積極的になってくれました。
- 何か、1つのチームができたような気がして、皆、胸が熱くなりました。
社長が言っておられたことが腑に落ちた瞬間でした。
すべてが好循環、来年も同じく、直接対面し、新人研修に力を入れていきたい!そう強く思いました。
ですから、これを読んでくれているあなたも、対面による研修というものを思う存分楽しんで頂きたいのです。ネット環境では得られない”何か”が得られますので。
ラストサムライがナンボのもんじゃい!
私たちの考え方は時代に逆行しているかもしれません。デジタル化をしない会社は遅れている。周りからは、まるでラストサムライかのような態度をされるかもしれません。
ですが、私たち中小零細企業は多数の新入社員を相手に研修するわけではありません。1人1人と向き合うことができます。
そのような研修をおこなうことで、お互いの距離がグッと縮まり、一体感が生まれます。
それはデジタル化では成し得ない、人間ならではのものです(うまいこと言葉で表現できませんが)。
デジタル化の良い部分を取り入れることも必要ですが、大事な部分までデジタル化させないようにしたいものですね。
時代の変革期で思うこと
新型コロナウイルスの影響で、世の中、何でもネット化、デジタル化と言っています。まるで人々の生活スタイルが変わり、世界が一変したかのような風潮です。
メールを開いても「ZOOMで○○しましょう!」とか「コンテンツ化しましょう」などと言ったセールスがたくさんきます。
ネットは確かに便利です。日本全国、世界各国の人と繋がれますし、レバレッジが効きます。私自身、ネットに大変お世話になっていますし、これからどんどんネットを活用するでしょう。
しかし、ネットやデジタルは万能ではない!ということも視野に入れておかなければなりません。
災害で電気が使えなくなったら?サイバー攻撃を喰らったら?
何でもデメリットやリスクはあります。
ネット化、デジタル化は新たな市場を形成する手段に過ぎません。周りに影響されぬよう、本質を見抜く力も必要かと思います。
人と人とが同じ空間で共存・共栄する。これは人間の本質であり、古来から備わってきたDNAです。それがデジタルで覆ることはそう簡単にありません。