もし、あなたが若手人材や部下に関して「上司の言うことをなかなか聞いてくれない」と常に苛立ちを感じているのなら、これからお伝えすることが一番の原因かもしれません。
コイツ、しばいたろか!と怒りを爆発させる前に、一度続きを読んでみてください。
なぜ上司の言うことが聞けないのか?
先日、ある若手従業員が「キンパツ」にして出勤してきました。今まで普通だったのに…です。
会社としてはもちろんNGです。なぜなら身なりに対してNGを出す取引先もあるからです。
その姿を見た部長がどエライ剣幕で怒りました。「明日から黒髪にして出勤して来い!」と。
しかし、その若手従業員は部長の話しをまったく聞き入れませんでした。いつまで経っても直そうとしません。
次の日も、そのまた次の日もキンパツのまま。
終いに部長は「なんで俺の言うことが聞けないのか!」殴りかかるような勢いで大声で怒鳴り倒したところ、若手従業員は「だったら辞めます」と発言する事態に。
「アイツはいくら言ってもダメだ。何とかしてくれないか?」部長が私に相談してきました。
なので、私は直接本人に尋ねました。
「金髪はダメって知ってるよね?何でやってるの?」と。
すると彼は言いました。
「N先輩が大丈夫って言ってたからです。」と。
じゃあ「N先輩が黒髪にしてこい!って言ったらそうする?」と私は彼に聞きました。
すると彼は「はい!そうします。」と即答しました。
上司は神様ではない
「なぜ俺の言うことが聞けないのか!」
そう悩む上司は非常に多いです。これにはさまざまな原因が挙げられますが、そもそもの原因が考えられます。
それは「上司として」ではなく、人として「信頼されていない」ということです。
現代の若者は「なぜ、それがダメなのか?」ちゃんと理由を説明しないと納得しないところがあります。
でもその部長は昔気質な人。説得するのではなく命令するタイプ。相手を威圧して頭ごなしに言うんですね。
私の知り合いの経営者も「頭ごなしに命令する」タイプです。ですから、
「なんで俺の言った通りにやらない?」「俺の言うことが聞けないか!」といつも怒っています。常にイライラ・カリカリしています。
ですから若者は定着しませんし、成長していません。逃げるように会社を去っていきます。
で「使えないヤツは要らん!」と相手のせいにします。
上下関係は現代に通用せず
仕事が忙しいので「なぜそれをやらなければいけないのか?」という説明すること自体、鬱陶しいようです。それくらい自分で理解しろよと。
威圧的に命令することでその場はしのげるかもしれません。ですが、それが長期的にみると”よろしくない”のです。
なぜなら人間関係が「信頼」ではなく「上下関係」だけになってしまっているからです。
上司だから、という考え方は、これから社会人として活躍する人材に対して通用しないかもしれません。縦社会というものが薄まり、横社会になってきていることも要因でしょう。
- 上司力=人間力
- 人間力=信頼力
- 信頼力=コミュニケーション力
- コミュニケーション力=根気力
ようは、人を育成する上司という役割りは、命令することではなく、威張り腐ることでもなく、部下との人間関係を深めること。
そのためには人間力も上げなければなりませんし、根気も必要です。
そして、お互いの信頼関係があってこそ、上司として尊敬されますし、上司の言うこともスッと受け入れてくれるようになります。
働き方改革よりも重要なこと
きっと今の上司の方々が若かった頃、上司に怒鳴られ、はり倒されしながら育ってきたことでしょう。
厳しく育てられ、誰よりも早く仕事のプロとして成長してきたことで、結果的にその上司を尊敬するようになった。って感じられることもあったでしょう。
でも「自分がそうやって育てられてきたから、今の若者にもそうする」ではないのです。
なぜなら時代の背景も環境も価値観もガラリと変わってきているからです。
今は「働き方改革」がしきりに言われていますが、それよりももっと重要で大切なことがあると私は常に感じています。それは「教え方改革」です。
命令するだけが上司ではない
教え方1つ変えるだけで、その若者があなたの言うことを聞いてくれるだけでなく、急に成長することだってあります。
それを実現するためには自分のエゴを捨てることです。
「昔のやり方でない”やり方”で、どうすれば信頼されるか?尊敬されるか?」その問いかけが、若手人材を定着させ成長させるための土台です。
自分中心に考えることも必要ですが、相手中心に考えてみる。命令や説得するのではなく、相手の意見に耳を傾ける。
なかなかできませんが、やってみてください。
最初は苦痛かもしれませんが、固執したスタイルを断捨離することで、新たな発見もできますし、それこそが人間力であり上司力を上げるポイントだと思います。
そして「桃栗3年柿8年」の精神で向き合う。そうれば彼らは少しずつ、あなたに信頼を置き、あなたの話しを受け入れてくれるようになるでしょう。
人材を育成する上司の役割りは「若手人材を育てること」です。決して自分の言うことを聞かせることではない、ということを自覚せねばなりません。
1つ言い忘れました
あっ、それともう1つ。この考え方は万国共通だと思います。
「日本の若者は呑気だ!外国人の方がよっぽど使える!」そう感じている経営者は多いです。
ですが、だからと言って頭ごなしに命令すれば、日本人だって外国の人だって嫌な気持ちになり反発的になります(我慢の度が違うだけです)。
一方で、相手が誰であろうと信頼関係を構築していけば、協力してくれるようになり会社に貢献してくれるようになります。
国や背景は違っても、人間の心理は万国共通ですから。
先日も「日本の若者はダメやなぁ。やっぱり外国人を雇用したいなぁ!」と経営者が言っておられましたが、、
「いや、育成する側の意識が変わらなければ結果はきっと変わらないと思いますが…」
そう意見させて頂きました。
人手が足りないから外国人を活用する。この考え方には大いに賛成です。
ですが、日本の若者はダメ。だから外国人の活用する。この考えには反対です。ある意味「育成放棄」しているようなものですから。