今回は、人材離れを引き起こすだけではなく、生産性を大きく下げ、従業員そのものをダメ人材にしてしまう「厄介なもの」をお伝えします。
これを放っておくと、人員は減るどころか社内の雰囲気が悪くなるだけでなく、長期的に会社の売上が減少していくことになるでしょう。仕事の依頼はあっても、それに応えることもできず四苦八苦していくことになります。
事実、私のところでも、従業員は1ヶ月に1人のペースで減ってしまいましたし、知り合いの製造業の会社も「人手不足&社内のモチベーションの低下&技術力の低下」により、仕事の依頼はあっても取引先が要望する品質を提供することができなくなってしまったようです。
それが一体何を意味するのか…言わずもがなでしょう。
ですので、もしあなたの会社でも”そうならないように”したいのであれば、一刻も早く厄介なものを処理する必要があります。その厄介なものを処置したことによって、社内のモチベーション低下を防ぐことに成功している会社もありますので…。
会社を死に至らしめる猛毒
前回で、人材が定着せずにすぐに辞めて行ってしまう理由に「ルールを簡単に破ることが原因だ」とお伝えしました。(前回の記事はコチラ)
確かにそれはそうなのですが、実はこれ、”短期的な要因”に過ぎません。
ルールを破って2、3ヶ月。下手したら1ヶ月で効果?が現れはじめます。簡単にルールを破ることで比較的短期間で「辞めます」という結果が出てしまうのです。
が、しかし!!です。
実はそれ以上にやっかいなものがあります。それは、とてもとても根深く、絡み合った糸のようです。それは、短期間ではなく長期間においてじわりじわりと人材離れを引き起こす猛毒です。
しかも、この猛毒に毒されると、ほとんど治ることはないでしょう。
では、その要因とは何でしょうか?
人材離れを引き起こすだけでなく、生産性を大きく下げ、人材そのものをダメにしてしまう。結果、会社の技術力は間もなく下がり、取引先からの受注も減り会社を死に至らしめる。
それほどのものとは一体、何なんでしょうか?それは…
それは会社に必ず存在するもの
腐ったリンゴの存在です。
あなたの会社に1人や2人はいるでしょう。腐ったリンゴが…。(いや、もっといるかも…??)
その腐ったリンゴがどれほどの影響力を与えるのか、見くびっていませんか?
- 出世街道から外された人、
- 自分をちゃんと評価してくれていない!と被害妄想にふける人、
- 何かの拍子で会社を憎み、会社の足を引っ張り出す人、
- 元々素質のある人etc…
その腐敗した菌は、まるでバイオハザードのようにウィルスが伝播し、広がっていきます。
そのリンゴが腐っていく起因はさまざまですが、腐ったリンゴは他のリンゴを腐らす猛毒。必ず何かしらどうにかしなければならないのです!
どうやって毒されていくか
実は私、ここ数ヶ月で人材離れが起きた要因、そもそもの根っこの部分は、この「腐ったリンゴ」が要因じゃないかと思っているんです。
腐ったリンゴが、新鮮なリンゴをじわじわと腐らすパターンはいくつかあるとは思いますが、その典型例を1つご紹介しましょう。それは、
この会社、ホンマ給料安っいわ~~!やってられんわ~~!
オマエの給料そんなもんか!?やっすいの~~
という投げかけです。
この言葉がどれほど”有害”で”強力な猛毒”なのか、、わかりますか?
もちろんおわかりでしょうけれど、「また言うとるわ」と言って、意外と放置されがちです。
ですが、こういった言葉を繰り返すことにより、つまりは「洗脳」の効果が発揮されてくるのです。
脳ミソのど真ん中にズドーン!
人間にはアンカリングというメカニズムが働きます。アンカリングとは何か?
ウィキペディアから引用すると、”アンカーと呼ばれる先に与える情報が判断を歪めアンカーに近づく心理学の現象のこと。”となっています。
たとえば価格。「モノを買うとき、まず最初に価格が目に入ると、その価格を基準に物事を判断する」と言う現象です。その価格が頭の中にクサビのように打ち付けられるので、価格を基準にお買い得か、そうでないかを判断してしまうのです。
少し例が良くなかったかもしれませんが、「この会社は給料安っいわ~~」「オマエの給料そんなもんか!?やっすいの~~」という、腐ったリンゴにとっては何気ないフレーズは、新鮮なリンゴの脳ミソのど真ん中にクサビをズドーン!!と一突きさせているのです。
するとどうなるか?
洗脳完了!
新鮮なリンゴたちは「この会社の給料は安いのか??」「自分の給料は他の人にくらべたら安いのか!?」という自問が沸いてきます。
そして腐ったリンゴから何回もそれを聞かせると潜在意識に植え付けられます。
するとじわじわと毒されはじめ、何か無理な仕事をお願いしても「どうせ俺の給料は安いしな…」「適当にやっておくか」というモチベーションに繋がってしまうのです。
で、たまに友人と給料の話しになったとしましょう。「オマエの給料ナンボ?」「えっ!?それだけしかもらってないの!?」「休みもすくないのに!?」と友人から言われたら…もう「THE END」です。
で、まもなく
- 俺は評価されていない、
- 会社に安い給料でコキ使われている、
- この会社にいたら将来が不安だ!
などと、そんな被害者意識が生まれはじめ、「あの人の言っていることは間違ってなかった!本当だった!」と思い始めます。
そこで腐ったリンゴ達は「だから言っただろう?オレらの仲間に入れ!」と言わんばかりに仕上げに入り「はい!腐ったリンゴの出来上がり!」となります。
今すぐ何らかの処置を!
新鮮なリンゴを腐らすために、洗脳を仕掛ける腐ったリンゴ。あなたのところにも腐ったリンゴの1つや2つ箱の中に入っていませんか?
今すぐ箱の中を覗いて見てください。
腐ったリンゴ達は、もぎたての新鮮なリンゴのど真ん中に、リンゴをじわりじわりと腐らす大きな楔を打ち付けることが大好き。そして会社を混乱に至らしめることが大好きな猛毒です。
そして腐ってしまったリンゴたちは、自ら廃棄(退職)の道を行くか、腐ったリンゴのまま、のらりくらりと会社に居座り続けるかになります。
なんでもそうですが、新鮮なものを腐らせることは簡単ですが、腐ったものを新鮮にさせることはできません。
新鮮なリンゴが腐りかける前に何かしらの処置をすべきだと私は思いますよ。
1分でわかる今回のまとめ
- ルールを破ることは人材離れを引き起こす要因だが、それよりももっと根深い要因がある。
- それは腐ったリンゴの存在。腐ったリンゴが放つ猛毒はじわりじわりと新鮮なリンゴを腐らせる。
- それはアンカリングという一種の洗脳みたいなもの。
- 新鮮なリンゴをを腐らせないためには今すぐ何らかの処置が必要。
- 新鮮なリンゴはすぐに腐るが、腐ったリンゴを新鮮なリンゴにすることはできない。
以上、いかがでしたか?先日も、腐ったリンゴが新鮮なリンゴに毒そうする姿を目の当たりにしました。
経営者はそれらをどうしていくか…難しい判断や決断に迫られるかもしれません。なぜなら、毒するリンゴ達は、長年その会社で働いてくれている人達である可能性が高いからです。
話し合いできることが一番かもしれませんが、何をやっても腐り続けるリンゴもいます。そんなリンゴをそのままにすると大きなダメージを喰らいますよ。