ホンマにもう、根性無しで使えないヤツばっかりや!!
そう、社内に響き渡るほど大きな声で愚痴をもらしていたのは”人材育成”と”人事管理”を任されている会社の管理職。
なぜ、そんなことを言っていたのかと言うと…
もう負の連鎖が止まらない
月に1人のペースで従業員が会社を去っていってしまう…。。今、そんな状況になっているからだ。
人材を確保できているペースは3、4か月に1人。辞めていくのは1ヵ月に1人。負の連鎖がとまらない。この半年間でそんな状況になっている。これはまるで今の日本の”財政収支”のようだ。
どうしようもない人材なら、こちらが何をしてでも会社を去って行くが、そうではない。
ここ近年、私は試行錯誤を繰り返し、優秀な人材になるであろう”素質のある人”たちをコツコツと確保し続けてきた。おかげで新卒採用は1年間で離職率ゼロも達成し、同業者の間では一線を画すほどの会社にまでなった。
しかし、現実こうなってしまった。なので、私にとっては本当に残念でならない(もちろん経営者も…)。なぜなら、成長が見られず、同じことの繰り返しをしているからだ。
なぜ負の連鎖が続くのか?
辞めて行く理由はわかっている。もちろん人間関係もあるし、賃金面もある。しかし、それ同等か、それ以上に「会社を去る理由」を与えてしまっている原因がある。
それは、ルールを破ること。簡単にルールを破ってしまうことだ。
昨年から仕事の受注が大量に増え、かなり現場が慌ただしくなった。現場が混乱するほど忙しい中、人間関係のもつれ、待遇の不満から中堅従業員が何人かを連れて会社を去った。その時、残った従業員の1人あたりの負担がかなり大きくなった。
残業は当たり前。休日出勤も当たり前になっていた。朝は6時出勤で、晩は22時帰社。あるはずの休日はなく、月に2日休めればいいほう…そんな状況になっていた。
そんな状況にエクスタシーを感じる変態従業員もいるのだが(それも良くはない)、若手にはあまりにも負担が大きすぎる。そんな労働条件で採用したわけでもないし、過去の失敗で「負担を大きくしたらダメだ!」と痛感していたはずだ。
だが、人手不足だからという理由で簡単にルールを破っていたのだ。
「仕方ないやんけ!人が辞めて行ったんやから!」そんな逆ギレの言い訳も言い訳にならない。
まだ入社して2年しか経っていない若手従業員が放心状態になっていた。声をかけても、手を振っても反応しないくらい。
「辞めると言っているから引き留めてくれ!」社内からそう言われても時すでに遅し。過労死?ノイローゼ?そうなっていなくて良かった…逆にそう思えたくらいだった。
そんな、会社を去って行く彼らを見て「ホンマにもう、根性無しの使えないヤツばっかりや!!」と愚痴を言っていたのである(そんな管理職も変態に域に入る人なのだが…)。
ルールを守らなければ…
ルールを破ること。すなわちそれは「赤信号で交差点に進入する」ことと何ら変わりはない。
ルールはルール。それを守らなければ大事故に繋がる。赤信号で交差点を横切ったら何かと衝突する。誰でもわかることだ。
瞬間的に事故が起きるか、じわじわと後になって事故が発生するか。
労務管理は後のパターン。だから厄介。瞬間的に事故が見えないから、コトの重大さがわからない。それなのに「辞める」と言われたら「なんでや!」と騒ぎ立てる。それよりもっと前に交差点で事故を起こさせているのにも関わらず…。
もちろん、強要されて交差点に進入して通りきったとしても、必ず傷はつく。無傷ではいられないのは皆同じ。
使える人材の定義とは?
根性無しとはどういうことか?使える使えない人材とは?即戦力とは何か?
おそらく、どこの中小企業も、未だ「赤信号でも全力で交差点を突っ走ってくれる人材が欲しい」そう思っているのではないか。信号も無視、一旦停止も無視。それで無傷でいられる人材に仕立てようとしているのではないか。そう思うことが多々ある。
それならそういうルールで人材を募集しなければならない。しかし、そんな度胸のある人、どれだけいるだろうか?もしいたとして、あなたの会社に応募してくれるだろうか。
今まで信号無視をやり続けてきて、それを乗り越えてきた人たちは、それでいけるかもしれない。赤信号で時速100kmで交差点に進入してもへっちゃら。クルマや人を華麗によけるテクニックを身に付けているかもしれない。
でも若手人材は違う。そんなテクニックはない。「渡れコノヤロー!」と言ってもビビッてその場を立ち去るだろうし「俺と一緒に渡ろうぜ!」とやさしく耳元で囁いても無駄であろう。
若手人材はパトカーでも救急車でも消防車でもない。赤信号で進入させれば、必ず事故が起きるのだ。誰だって自分が一番かわいいし、危険を感じたらビビッてその場を逃げるように去る。人間の本能だから仕方ない。「赤信号みんなで渡れば怖くない」は通用しない。
赤信号でも堂々と渡れない人材を「使えないヤツだ」というのは時代錯誤。「俺らが若い時は寝ずに働いた!」と過去の功績に浸るのも同じ。
そして「苦しい時こそ乗り越えるんだ!ここで諦めたらオマエはずっと負け犬になる!」と言う。それはまったく間違っていないと思う。しかし現代においては価値観の押し付けでしかない。現代においては…。
※(押し付けるのではなく、そう思わすことが大事。将来の日本をダメにするのは今の若者ではなく、実は私たち。私たちの在り方、育て方かもしれない。誰かのせいにしてはダメ。)
逆境こそが力を身に付ける大チャンス!だが…
さて、私としては、こういう逆境がある度に、求人力・人を確保する能力を上げてきた。そして、これからどうやって人材を確保していこうか、ちょっとしたアイデアとワクワクでいっぱいだ。
だが、これからはなかなか上手くはいかないだろう。もちろん今の採用難に加え、組織内において進歩が見られないから。穴の空きまくった風呂釜をなかなか塞ぐことができない。
ということで、まずは何か少しでも環境を変えなければ!そう思い立った経営者と打ち合わせの結果、今年入社してくる新卒社員は違う部署に配属になりそうです。
1分でわかる今回のまとめ
- 従業員が毎月辞めて行く「負の連鎖」が続いている。
- それはルールを守らないことが大きな要因。
- ルールを守らないことは信号無視をしていることと同じ。
- 信号無視をすれば大きな確率で事故に遭う。
- 中小企業は未だ「信号無視で交差点を突っ走るような人材」を求めているのではないか?
- それならそのルールで必死になって求人するしかない。
- 逆境こそ求人力・求募力を上げるチャンスだが、環境を変えない限りいつまでも続かない。
いかがでしたか?
あなたの社内にはルールがありますか?それを頑なに守れるルールもありますか?
それがなければ会社は成長しない。そう思う今日この頃です。