今日で会社を辞めます
入社して約1年。
いきなりそう言ってきた社員がいました。
ようやく仕事にも慣れきた頃ですが、反面、不満もいっぱい出てくる時期です。
私は「いつものことか…」と彼を呼び寄せ説得にあたります。
何の目標も無いのに漠然と辞めるのは自分の身の為にならない…
そう説得しても「辞める」の一点張りで私の言うこともあまり聞いてはくれません。
それよりショックを隠し切れなかったのは、その若者を一人前にしたいという一心で、厳しく、優しく育ててきた直属の上司です。
そんな気持ちを知ってか知らずか、若者は自分の都合だけで「辞める」と平気で口にするのです。
しかし我が弟のように見てきた彼を辞めさせるわけにはいかない。
上司は、そんな若者を一瞬で引き留める「究極のひと言」を発しました…。
それは
オマエが辞めるならオレも辞める!
です。
この言葉はどんな説得術よりも効く、心の通った「ひと言」でした。
嫌なことは誰にでもあるし、いっぱいある。
でも、やってて良かった!と思うこともいっぱいあるから、いろんなことを一緒に分かち合おう!
そんな血の通った言葉は若者の心にグサッと突き刺さり、会社に留まることを決心してくれたのです。
これは、お互いがある程度信頼関係が無いと言えない言葉です。
嫌な上司に言われても何も響きません。
私が言っても響かなかったでしょう。
現場で一緒になって仕事をし、若者を広い心で見守ってきた人望ある上司だからこそ「なせるわざ」なのです。
この事件が起きたのは約1年前になりますが、その若者は現在もその上司の元で頑張っています。
そして周囲の若者よりもスゴイ勢いで成長していますよ。
今ではその上司を「兄貴」と慕っているのは言うまでもありませんね。
そういう関係が築くことができれば、若者離れを一瞬で食い止めることができます。