人材を教育するうえで立ちはだかる「大きな壁」。
あなたはご存知でしょうか?
「相手に教わる気があるのか?」「ないのか…?」
という問題も重要ですね。
人材教育の研修会中によそ見をしたり居眠りをしたり…。
「殴ってやろうか!」と思う時があります。
しかし今回は違う観点から…。
私の時代は
私は20代半ばに不動産・建設業界に入りました。
その時、どんな人材教育を行っていたかおわかりでしょうか?
スパルタ教育??
いいえ、違います。
そういう会社もありましたが…。
答えは
「放置」
です。
放置教育です。
ひたすら放置。
テクニックは見て盗めという空気でしたが、近寄って行くと
「邪魔だ」「あっち行け!」という感じでした。
各営業マンにはノルマがあり、社員教育なんかに構ってはいられなかったのです。
そして、新入社員が成長し売上を上げようものなら自分のクビが危なくなりますから、「出てくる杭は打つ」ということことをしていたのです。
もはや教育とは言えず、「イジメ」に近かったのです。
私は時間のムダだと思いすぐにその会社を去りましたが、そういう雰囲気の会社は成長するはずもなく、現在その会社は事業の縮小を余儀なくされています。
ところで、今の若者に「放置」をするとどうなるでしょうか?
確実に明日から出勤してこなくなるでしょう。
いや、放置されたまま会社で永遠と「ボーッ」としているかもしれません。
競争原理という意味では、組織の中でのし上がっていく気持ちは大切ですが、それが備わっていない。
そんな若者が多いと感じているのは私だけではないでしょう。
この教育法は会社にとってはマイナスです。
例えばある製造業。
なんとか人材を獲得し「1日でも早くひとり立ちさせ、事業を拡大して行きたい」と日々悩んでおられる経営者。
その思いとは裏腹に「人材を増やすくらいなら給料を上げろ!」と日々不満に思っている従業員。
そこに大きな溝が生まれます。
その従業員たちの溜まったフラストレーションを若手にぶつけていたとしたら?
考えるだけでも恐ろしいことです。
教える側の意識
内容がチグハグして申し訳ないのですが、
ようは何が言いたいかと言いますと、
人材を教育するうえで立ちはだかる大きな壁。
それは
組織の教育システム、そして教える側にも問題がある。
ということです。
社内の教育方法はシステム化することができますが、
特に教える側のモチベーションが大きな障壁となります。
おわかりでしょうか?
人材教育を担う指導者側の多くは「人を育てる」という概念が欠けています。
言われたことは実行するが、内心「うっとうしいな」と思っている中堅社員は少なくありません。
「会社は学校じゃないんだ!」とか、「オレが若い頃は見ておぼえたもんだ!」
なんて色んな理由をつけて「部下の教育」という努力を怠ります。
自分の仕事と掛け持ちしていたら余計に、です。
そこに「人材の成長と定着を阻害する」要因があります。
そんな教育側(だいたいは中堅社員でしょうか)の思考が、会社にどれほどの損害を与えているのでしょうか?
ある会社に入社したばかりの若者を「ウチに来ないか?」と誘っていた時期があります。
なぜかと言うと、若者は素直でスポンジのような吸収力を持っていたのにも係らず、会社内で放置されていたからです。
私のようにムダな時間を過ごしてほしくなかったのです。
しかし「この会社で頑張ってみます!」と意気込んでいたので、1年経過したら再度勧誘しようと思いました。
しかし1年後、若者に再開したら人が変わっていたのです。
仕事はロクにできず、愚痴や文句ばかり言っていました。
不満や文句が多い人間から教育を受けたばっかりに不満や文句が多い人間になってしまったのです。
おわかりでしょうか?
社内の雰囲気、人の思考、態度が、周囲の人間にもろに影響を与えるのです。
「腐ったミカンはすぐに捨てろ!」
昔勤めていた会社の経営者が言っていたこの言葉を思い出しました。
(不平不満の多い従業員の間では「いや、腐っているのはアンタだろ!!」と心の中でツッコミを入れていたことは想像に難くありません)
教育する目的とは
新たに人を採用し、1人にかける1年間のコストはいくらでしょう?
教育した人材が1人前となり、会社の利益をもたらしてくれるのは何年後でしょう?
そんなことは社員が知る由もなく
「辞めてくれた方が仕事の負担が減るな」
「給料上げてくれたらちゃんと教育したるわ!」
と、悪ぶれるそぶりも無く平気でそう思っているわけです。
もう効率の悪い投資はやめにしましょう!
人材教育とは組織を統制することでもありません。
部下をひれ伏させることでもありません。
人材教育とは「投資」です。
投資にはリターンが必要です。
人材教育は長期的な投資であり、長期的なリターンをもたらすこと。
そのために、会社に貢献する人材に育てること。
これが第一ではないでしょうか。
人材が育たない環境。
それは若手を育てる前に、管理職、中堅社員の意識改革から行う必要があるかもしれません。