さて、今年度も見込のありそうな(かなり!)、新卒採用を数名確保することが決まり、幸先が良いスタートを切ることができています。
中小零細企業は大企業とは異なり、一度に多くの人材を確保する必要はありません。
30人を一度に集めるたった1つの方法よりも、たった1人の素質のある人材を確保するための30通りの求人アプローチを、コツコツと何度もしていけいばいいのです。
でも、中小零細企業の多くは、大きな会社のような30人向けの求人アプローチをしてしまっているような気がします。
1人、1人、着実に人材を確保していきましょう!
例え方は悪いですが、一本釣りのような感じですね。
ニッパチの法則
ところで「パレートの法則」ってご存知ですか?
もしかしたら、一度や二度、聞いたことがあるかもしれませんね。
パレートの法則とは「80:20の法則」と言われ、
”ある事柄の20%が全体の80%に影響を及ぼしている”という法則です。
というより経験則みたいなもんですね。
たとえば、、
- 売上の8割は、顧客全体の2割で賄われている
- 商品の売上の8割は、全商品のうちの2割の商品で賄われている
- 仕事の成果の8割は、それに費やした時間の2割で生み出されている
とかですね。
あなたの会社の80:20は?
これは、あなたの”会社の従業員”にも当てはまるでしょう。
たとえば「売上の8割は、2割の従業員で生み出されている」です。
あなたの会社の従業員が30名だったとしたら、その2割の6名が、あなたの会社の売上の8割に貢献しているということですね。
まぁ、細かい数字は抜きにして、ザッと考えると心当たりはありませんか?
私の場合、すぐにその2割の従業員の名前が浮かび上がります。
一方で逆のパターンもありますね。
たとえば「会社の従業員の2割が、あなたの会社の8割部分に悪影響を及ぼしている」というケースです。
平たく言えば「腐ったリンゴ」ってヤツですね。会社の文句や愚痴を言う従業員、権利ばかりを主張する従業員、会社の足を引っ張る従業員、定着しない従業員etc…
これも心当たりないでしょうか?これも私はすぐに名前が浮かびます(笑)。
欲しい人材を採り、採りたくない人材を排除する方法
もし、あなたが素質のある人材や優秀な人材を採用したいと思うのであれば、、
会社の売上の8割を生み出す2割の人たちが、どういうモチベーションで働いているか?
を探る必要があります。
逆に、採用したくないような人材を排除したいのなら、、
会社に悪影響を及ぼす人材が、どういうモチベーションでいるのか?
を探る必要があります。
市場規範と社会規範
以前、「市場規範」と「社会規範」という記事を書いたことがあります。
これは心理学者であるダン・アリエリー教授が執筆された「予想通りに不合理」(ダン アリエリー (著), Dan Ariely (原著), 熊谷 淳子 (翻訳)/出版社: 早川書房)という本に書かれているのですが、
簡単に言うと、
- 市場規範とは…お金などの物質的な報酬がモチベーションになる人
- 社会規範とは…気持ちや感情的な報酬がモチベーションになる人
です。
つまり、金で動くか、気持ちで動くかの違いと言っていいでしょう。
あなたの会社の右腕はどっち?
さて、少し話を戻しますと、
- あなたの会社の売上の8割に貢献してくれる2割の人材は「市場規範」でしょうか?それとも「社会規範」でしょうか?
- 一方で、あなたの会社8割に悪影響を及ぼしている2割の人材は「市場規範」でしょうか?それとも「社会規範」でしょうか?
私がいろんな会社を見てきたケースでいえば、
会社の売上の8割に貢献してくれる、2割の人材は「社会規範」で、
会社8割に悪影響を及ぼしている2割の人材は「市場規範」である場合がほとんです。
なぜでしょうか?
それは、優秀な人材というものは、物質的な報酬がモチベーションではなく、感情的な報酬がモチベーションになっいるケースが多いからです。
たとえば、
- 経営者に惚れているから貢献していきたい、
- 自分の能力を発揮していきたい、
- 達成感を味わいたい、
- 周りから認められたいetc
そういった感情的な報酬を求めている場合が多いのです。
一方で、会社8割に悪影響を及ぼしている2割の人材はどうでしょうか?
たとえば、
- この会社、給料安いな~
- ボーナスたったコレだけかよ~
- あ~めんどくせーなー。早く休み来ないかなー。
- 俺を動かしたかったらもっと金出せよ!etc
市場規範(物質的な報酬)を求めていること、多くないですか?
そんな毒を社内で吐いて、会社に悪影響を与えています。
(ちなみに歩合給が普及している不動産業界に多い”銭ゲバ営業マン”の2割は、ものすごい売上を上げる反面、会社の8割のトラブルを発生させています。これで瀕死に陥った会社を幾度となく見てきました。)
優秀な人材を採用する方法はあなたの目の前に転がっている
もし、この法則というか経験則が当てはまるのなら、、
求人で優秀な人材を採用したいと思うのであれば、感情面に訴求したアプローチをした方が成功しやすいということになります。
ではどうすればいいのでしょうか?
それは、待遇面をアピールして求人をするのではなく、魅力発信型の求人アプローチをしていく必要があります。
コトバンクによれば、魅力とは「人の心をひきつけて夢中にさせる力」と定義しています(めちゃくちゃ素晴らしい定義です!)。
優秀な人材を確保している会社の多くを見れば、人の心をひきつけ夢中にさせていますよね?
経営者のカリスマ性、会社のビジョンやミッションで士気を高め、人材が活躍でき達成感が味わえるフィールド、etc
それらの一部または全てが満たされているものです。
ですから、あなたの会社の売上に大きく貢献しくれている優秀な人材に、
- 何が仕事をガムシャラにこなすモチベーションになっているか?
- パフォーマンスの源泉は?
- 何に夢中になっているのか?
- 何にひきつけられ、魅了されているのか?
それらを探求していき、そのモチベーションをもって求人でアピールすれば、似たような人材を引き寄せることができるようになる…とうことになります。
あなたの今の求人はどうですか?
それらを前提に、今の求人採用活動を比べてみて下さい。
あなたの求人採用活動で発信したメッセージは、、、
- 人の心をひきつけていますか?
- 夢中にさせていますか?
これは正直、簡単なことではありませんが、「人の心をひきつけ夢中に」させれば、あなたの会社の売上に貢献してくれる素質のある人材を確保することができるようになるでしょう。
優秀な人材が冷める瞬間
優秀な人材を確保できた!そう言って安心してはいけません。
従業員の心をひきつけて夢中にさせ続けなければ、あなたの会社の魅力は失われます。
そして優秀な人材が「ダメ人材」になってしまうケースもあるのです。
たとえば、経営者がお金でその人を価値を決めてしまったパターンです。
コレだけ給料出してるのに、なんでもっと働かないんだ!?
その考えが相手に伝わってしまった場合ですね。
優秀な人材だってスランプの時はあります。常に会社のためのバリバリ働いてくれるわけではありません。
もし、従業員のスランプがガマンできず、結果!結果!を求める経営者で、そういった言動が常にあったとしたら、もし、言葉に出さなくても態度やオーラで伝わるものです。
せっかく感情面で繋がっていたのに、物資的な側面(このケースで言えばお金)で、その人を評価してしまったがために、会社や経営者を批判し、足を引っ張るようなケースがありました。
信頼を築くのは大変だが、信頼を失うのは一瞬
もし、意中の異性や恋人とお付き合いをしていて、金銭的な評価をされたらどうでしょうか?
「コレだけ金を使ったのにちっとも抱かせてくれないオンナ!」だとか、「シャネルのバッグすら買えないなんて安い男だわ」なんて言われたら、、気持ちが冷めるでしょう?
他にも、信頼していた売り手が「自分を金のなる木にしか思っていない」と感じた瞬間、そこで買うのを控えるかやめるでしょう?
しかも一度「市場規範」になれば、「社会規範」にはもう戻れない。そう「予想通りに不合理」の本には書いてありました。
信頼を構築するのは大変ですが、信頼を失うのは一瞬だということです。
だから、心の繋がりは常に大切なんですね。
もちろん、優秀な人材が感情的な報酬で動かされていると言っても、物質的な報酬が低いままでいいわけではありません。
なぜなら不信感が生まれてくるからです。気持ちで評価する表れの1つが、物質的な報酬である必要があります。
いけないのは、すべてお金などの物質的報酬で解決しようとすることです。
市場規範と社会規範か紙一重なのです。なんでもバランスが重要ですね。
あ、もしよかった「予想通りに不合理」の本を読んでみて下さい。人の行動心理がわかって面白いですよ。