世の中は本当に人手不足ですよね。どの業界も「人手が足りない」と言っていますし、人手が足りなければ、取りたい仕事も取れない。せっかくの売上を拡大させるチャンスを逃したくないのに…そう思っている方も多いことでしょう。
なんとかして人材を確保できないか…
このブログをいつも読んでくださっている方の多くは、従業員数10~30名ほどの中小零細企業が多いのですが、今回はそれを前提にお話しさせて頂こうかと思います。
人材は増えるどころか…
ちょっと想像してみてほしいのですが、もしこれから、あなたの会社にどんどん人材が増える!!のではなく、、
逆に、あなたの会社から人材が、次から次へと、どんどん去って行ってしまうような状況になったらどうでしょうか?
人手が足りない!と嘆いているこんな状況下で「今月限りで辞めさせてもらいます」と、突然退職願いを目の前に突き付けられたらどうでしょうか?
しかも1人じゃなく、3人も4人も一気に辞められたら?
次から次へと仕事の依頼が舞い込み、このクソがつくほど忙しい状況で、、この今こそ収益を確保しておかなければいけない。まさにご祝儀相場のような状況で、、
あなたの元から従業員が何人も去って行ってしまったら??
人手が減ったあなたの会社は乗り切れるでしょうか?
はい、なぜ、こんなお話しをしているのかと言いますと、、
この恐ろしい状況が現実に起きてしまったからです!
そうです。私が担当していた会社の従業員が、次から次へと去って行ってしまう状況が起きてしまったのです!
しかも今回は、入社してまだ日が浅い従業員ではなく、5年、10年と会社で活躍してくれた従業員が去って行ってしまったのです。しかも社内の従業員を連れて…
従業員30人の規模でやっていたので、3,4人辞めたところで致命傷にはなりませんが、、でも、1現場を飛ばすくらいのダメージは喰らっています。これは片足を失ったくらいのダメージを受けたことでしょう。
なぜ、そんなことが起きてしまったのか?
その原因をお伝えするその前に、ちょっとだけ聞いてほしいことがあります。それは、、
売上を安定させるお店 VS 売上を不安定にするお店の共通点とは?
集客と売上をいつも安定させているお店と、いつお客さんが来るかわからない状況で売上を不安定にし、ジリ貧に陥ってしまうお店の違いって何かわかりますか?
これはどんな商売にも当てはまることだとは思うのですが、、
それは常連客を大切にしているかどうかの違いです。
売上を安定させているお店は常連客を常に大切にしていますが、売上を安定させることができない多くのお店は、新規客を集めることばっかりに目が行ってしまい、いつも通ってくれる常連さんをないがしろにしてしまいます。
私が言うのもなんですが、商売っていうのは、いつもお店に通ってくれる常連さんこそ大切にしなければいけないはずなのに、「放っておいてもお店に通ってくれるだろう。」とつい油断をしてしまい、新規の顧客にばかりサービスを提供してしまう…。そんなお店はけっこうあります。
ひょっとしたらあなたも聞いたことがあるかもしれませんが、「お店の売上の8割をもたらしてくれるのは2割のお客さん」という公式があります。しかも、その2割のお客さんは新規客の売上ではなく常連さんによる売上なのです。
常連客を大事にすること。それこそが、集客と売上を安定させる秘訣である…
と言ったところで、では、この話しが、人材のことと、一体何の関係があるのか?
そう思われたかもしれません。しかし、ここでピンと来た方は素晴らしいです。
当たり前と思うことに隙が生まれる
そうです。そこにはある共通点があると私は感じています。それは、、
『新規客の獲得=新しい人材の獲得』。そして、、
『常連客を大切にすること=既存の従業員を大切にすること』だと感じているからです。
今、多くの経営者は、新規の人材を確保することばかりに気が行っています。なので、今の従業員をおろそかにしてしまう傾向にはないでしょうか。
今いる従業員が、当たり前のように出勤してきて、当たり前のように働いて帰る。そんな毎日がずっと続くと考えてしまう傾向にあるのではないか?と申し上げたいのです。
経営者が「これからどんどん人材を確保していくぞ!」と意気込んでいる中、あなたの知らないところで、あなたの会社の従業員がひそかに転職を考え、コソコソと転職活動をし、気づいた頃には他の会社に行ってしまう状況。
実際、そのような事態が起きてしまうと、くそッ!あいつに裏切られた!!という気持ちになってしまうようですが、実はそれは違います。
なぜならそれは、従業員をないがしろにしてしまったことに他ならないからです。まさにそれは、常連客をないがしろにすれば常連客でなくなりますし、恋人をないがしろにすれば浮気されるのと一緒です。
お金より大切なもの
辞めて行った人の多くは、「他の職人は収入があがっているのにウチの会社はちっとも賃金が上がらない。もっと稼ぎたいから。」という理由で会社を去って行きました。辞めていった人の中には、家族を抱え生活がかかっている人もいますしね。
では、給料を上げたら今の会社に留まってくれたか?と言えば、答えはNOです。
なぜなら、それはあくまで、建て前に過ぎないからです。
もちろん物理的にお金は必要です。お金が無ければ生活できませんからね。ですが、もっとそれ以前に大切なものがあるのです。
人材雇用で、あなたはこんな間違いしていませんか?
例えばもしあなたが、人材を雇い入れたり、従業員が辞めないよう、引き留めるために、ボーナスや賃金をアップをするだけに注力するなら、それはきっと何も意味を持たないかもしれません。
なぜなら、従業員の感情的な側面を見ることをしなければ、いくら賃金をアップさせても、そのお金には価値がないからです。
そして実際、給与が安いと言って辞めて行った人たちも、その行動に移す引き金となったのは感情だったからです。
- 意見や主張が受け入れられない苛立ち、
- 会社から評価されていない不満や怒り、
- 他社の周りの人の収入が上がってきているのに、自分はその人と比べたら収入的に恥ずかしいという気持ち、
- そして、忙しい時期にあえて辞めることで、会社への復讐心etc
そういった根底にある感情が退職するという行動を駆り立ててしまったのです。そして、そういった感情を事前に潰しておけば、こうにはならなかったかもしれません。
賃金アップで雇用を活性化させるのであれば、従業員に対する気持ちを、心から、そして経営者から従業員に伝えてこそ、賃金アップに価値が生まれるのではないかと思います。
思ったような人材を雇用できない理由
恋愛関係や夫婦関係に例えるとわかりやすいかもしれませんね。たとえば、誕生日プレゼント。ただ単に誕生日プレゼント渡すのか、感謝の気持ちやねぎらいの気持ちをしっかり伝えたうえでプレゼントを渡すのか、ではとても大きな違いがでます。
ただエステ券を渡して「行ってこいや」と言うのと、「いつもいろいろありがとう。本当はマッサージしてあげたいけど、してあげられる時間もないから、このエステ券でリラックスしてきて」と言うのとでは、相手の気持ちの受け止め方はグッと変わるでしょう。
人間は感情的な生き物です。この感情の扱い方次第で、良くも悪くも作用します。感情が満たされなければ、いくらモノで満たそうとしても埋まらないものなのです。
ただ、良い条件、待遇を提示したとしても、あなたが思っている以上の良い人材が確保できず、定着しないのは、モノですべて解決しようとしているからです。
感情面に触れる機会もなく求人・採用、雇用しようとしているからです。
賃金アップとか福利厚生は、従業員への気持ちに対する表現であり手段です。いくら待遇面を改善していこうと思っていたとしても、従業員の根底にある感情面をないがしろにすれば、、いつまで経っても良い人材は集まりませんし、優秀な人材も定着しません。ましてや忙しい時に限って辞められてしまいます。小手先のテクニックでは見透かされてしまうのです。
一方で、感情的な繋がりを強固にしておけば、会社のために、そして経営者のビジョンに向かって、たとえ苦しい状況でも一緒に乗り越えてくれるでしょう。多少金銭的な不満があったとしても…です。
優秀な人材を確保し定着させるたった1つの思考
ビジネスを成長させている、ある商売人が言っていた、とても印象に残った言葉があります。
それは、
「人は人から買う。どこで買うかや、いくらで買うか以上に、誰から買うかが重要だ。」
という言葉です。
これは人材採用や人材育成においても当てはまります。
人はお金で雇われているわけではない。人は人に雇われている。どの会社に雇われるのか、どんな待遇で雇われるのか以上に、誰に雇われ、誰と一緒に仕事をするのかが重要だ。
これこそが、優秀な人材を確保し、定着させるための大前提であり、これからの人材難時代を生き抜くための方法だと私は感じています。
結局のところ、4人もの従業員が去っていった大きな要因をひと言で言えば、従業員の感情を放置し続けていたことが大きな原因だということに尽きると思います。
1分でわかる まとめ
- 人材が増えるどころか逆に減って行ったら、あなたの会社は乗り切ることができるか。
- 人材を確保することばかりに気がいくと、会社の従業員をないがしろにしてしまいがちになる。
- 常連客を大切にしなければ顧客離れが起きるように、会社の従業員を大切しなければ、会社離れが起きるようなる。
- 今いる従業員が当たり前にいると思っていると脇が甘くなる。
- 待遇面ばかりを改善しようとしてもそれは意味がない。従業員の感情的な面を汲まないと待遇面を改善する価値がないから。
- 雇用面を、モノですべてを解決しようとしていないか?
- 求人・採用、雇用が思うようにうまくいなかいのは、相手の感情面に触れようとしないから。
- 従業員との間に感情的に繋がっていれば、苦しい状況も一緒に乗り越えてくれる。
いかがでしたでしょうか。結局は、誰と一緒に仕事をしていきたいのか…
今回はそれがゴッソリと抜け落ちてしまったと言っても過言ではありません。
従業員が増え、ある程度安定していた時期が続いていましたので、油断してしまっていたような気がします。