先日、いつもブログを読んでくださっている方から、こんなご意見を頂戴しました。(読みやすいように一部文章を訂正しております。)
建設業界全体が人手不足です。一人あたりの労働時間跳ね上がり、個々が耐えきれなくなり辞めて行きます。
会社として事業規模(やれる事が減っていく)が縮小し、負のスパイラルに打ち勝てません。
特に対策、改善を打ち出さない。休みも無く、残業等に関する問題もシフト制を組んで行く等、似たようなスケジュールの他業種のやり方を取り込む気がありません。
この空気感が一部ではなくゼネコンから個人職人、末端に至るまでなので、そこでの辛さを訴える人の受け皿がありません。
建設業界はますます時代に逆行している
働き方改革が進めらていることは皆さんご存知かと思います。
残業時間の上限を60時間にしようとする案が出ている中、建設業界団体のトップが反対姿勢を示しているとの記事を目にしました。
理由は「オリンピックに向けて工期の遅れが生じる」ということです。
しかし結局、犠牲になるのは「孫請け業者、ひ孫請け業者の職人」です。
そこしわ寄せが行くような構造になっているわけで、時代に逆行している発言としか私は考えられません。
他業界は人材確保に躍起です
ネット通販の市場規模が拡大し、ヤマト運輸の人手不足が深刻に陥っていることはご周知でしょう。
そしてついに値上げを検討し始めました。個人的には他にもっと対策があるとは思うのですが、、「値上げをする絶好の言いわけ」になったことは言うまでもありません。
これが人手不足の対策として活用されるかは不明ですが、疲弊している現場が少しでも解消され、人材を確保するための対策をされていくのではないかと思います。
話しは戻ります
建設業界での残業の上限を撤廃したらどうなるか。
その場はしのげるかもしれません。しかし現場は疲弊します。人材がどんどん離れていきます。将来を考えていないとしか思えません。
人手不足はどの業界においても深刻です。そして他業界があらゆる手をつくして人材を確保しようと躍起になっています。目の前のことばかりに捉われている業界や会社は、他業界や他社に人材を取られて終わりです。
ゼネコンの会議に行けば「人手が足りません。人手の確保をお願いします」それだけです。未だに「社会保険を完備すれば若手はやってくる」と本気で思っている人もいるくらいです。
人材の確保、特に若手の確保争奪戦は建設業界内だけで起きているわけではありません。全業界、全職種で起きているのです。全業界、全職種がライバルなわけです。
業界に捉われることなく個々で対策を
建設業界は多重構造です。元請に近づけば近づくほど「御上」という考え方が根付いています。
それは致し方ない部分もありますが、それに振り回されることなく、自社は自社なりにやれることをやっていかなければなりません。
元請は、下請けの人手不足のことなんて考えていません。人がいなかったら他の会社に発注するだけです。しかし、いくら元請から人員を要請されても、1人の人間に負担をかけることは、確実に人材離れを引き起こします。
ローテーションを組むとか、従業員に負担をかけないよう社内での工夫が必要です。現代は副業も解禁されるような時代です。1つの会社に依存しない時代がやってきます。個々の会社から働き方改革を真剣に考えなければ死あるのみですよ。